やりたいことしかできない病

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第113回医師国家試験を受験してきた話

こんにちは、クロクロです。

 

 

表題の通り、2019年2月9日・10日に行われた第113回医師国家試験を受験してきまして、無事合格することができました。

なので今回は、僕が使用した教材のレビューや勉強法などを紹介しようと思います(僕のブログを読む層にこの記事が需要があるのかと聞かれれば正直疑問ですが…)。

 

どの大学でも毎年そうなんですが、医師国家試験の合格率が100%の大学ってまずないんですよね。つまり、どの大学に通っていても、どんな人でも落ちる可能性があるということです。

だからせめて僕のブログを見てくれている人には、今年駄目だったなら来年絶対に、初めて受験するなら一発で合格してほしいと思っています(余計なお世話だよとか言わないでね)。少しでも参考になれば嬉しいです。

 

あらかじめ言っておくと、僕は特に優秀な学生ではないですし、勉強を始めた時期がそれ程早いわけでもないです。

でもだからこそ、自分の勉強法は正しかったという自負があるし、凡人が紹介する方法、つまり”誰でも真似ができる方法”という点で多少なりとも意味があるのではないかと思っています。

前置きが長くなりました。そろそろ本題に移ります。

 

 

 

 

☆使用した教材とレビュー

〇TECOM『臓器別講座』 

5年生頃から動画が配信され始め、優秀な人は実習でまわる科に合わせて動画を観ていますよね。僕は全然観ていませんでしたが…

最近はTECOMよりもMECの方が主流だったりするのでしょうか?

臓器別講座に関しては、どの予備校のものを使っても覚える内容に大差はないと思います。自分に合ったものを選びましょう。

足りない知識や疑問点は教科書で調べて教材に書き込むといいと思います。

 

ただ、覚える時は必ず”書いて覚えてください”

ただでさえ膨大な量の暗記をしなくてはならないうえ、新しい知識を覚えたら古い知識はどんどん抜けていきます。覚えては忘れ覚えては忘れの繰り返しです。読んでいるだけで知識を”長期記憶”に持っていくことは不可能です。

書いて、可能なら口にも出しながら覚えましょう。

 

 

〇MEC『サマライズ』『直前予想講座』『ラストメッセージ

あのDr.孝志郎が担当する講座です。

 

『サマライズ』と『直前予想講座』は6年生の秋頃から徐々に開講し始めます。

これらの講座は受講している学生がかなり多いですし、受講することを強くオススメします。結局、みんながやっていることはやった方がいいんですよね。

SLEの治療として抗BAFF抗体が紹介されていたり、「こんなの本番出る?」っていう知識も含まれます。正直知識が過剰な気もしますが、問題の解き方を教えてくれるし何より講義がとてもわかりやすく面白かったです。

 

ラストメッセージ』は会場で受講する(1月下旬)もしくは映像で受講する(2月上旬)ことができますが、単純に早く受講できるという点で会場で受講する方がいいでしょう。必修問題を中心とした予想問題が載っています。『サマライズ』『直前予想講座』とともに受講しましょう。

 

 

〇Q-Assist『公衆衛生』

QBを出版しているMEDIC MEDIAが提供する映像講座がQ-Assistです。

 

『公衆衛生』の講座は有料で7000円くらいしますが、めちゃめちゃオススメです。

間違いなく個人的にMVPだと思っている講座です。

講義の中に国試の過去問を中心に問題が400問ほど含まれており、公衆衛生に関してはそれらを解けば他の問題集はいらないと思います。

Dr.盛永の講義は本当にわかりやすく、この講座のおかげで僕は公衆衛生を得点源にすることができました。

公衆衛生はつまらないし、覚える量も多い…でも出題割合が大きいし嫌だな…そう感じている人に是非オススメしたい講座です。

 

 

〇QB

国試の過去問集ですね。

QB1~5巻がメジャー産婦小児マイナー科の問題、QB6巻が公衆衛生の問題、QB7巻が必修の問題です。

Q-Assistで公衆衛生の講座を受講するのであればQB6巻は買わなくていいと思います。

 

あとは、112回とか111回とかの回数別の過去問もあります。

QB1~5巻には最新年度の問題以外は載っているので、過去問を網羅するという意味では最新年度の回数別のみ買えばよいのですが、QB1~5巻だとあくまで分野ごと(循環器なら循環器、呼吸器なら呼吸器)に問題を解くことになります。

回数別の過去問ではA問題、B問題というように全分野バラバラかつ国試本番の形式で問題を解くことができるため、そこがメリットです。

医師国家試験は過去3年分が何よりも重要と言われているため、回数別の過去問に関しては3年分は買ってもいいと思います。

 

で、これが一番言いたいことなのですが、QBは1周目問題だけ解いてください

理由は後述します。

 

 

〇模試

僕は第3回・第4回TECOM模試、冬メック模試、MEDIC MEDIA模試を受験しました。

春や夏にも模試はありますが僕は受験していません。もちろん受験してもいいと思いますが…自分が受験していない以上何とも言えません。

第3回TECOM模試が11月、冬メック模試とMEDIC MEDIA模試が12月、第4回TECOM模試が1月に行われます。

模試は受験するにも復習するにも相当な時間を使いますし、全てを受験するのは現実的ではありません。この中で2つくらい受験すればいいと思います。模試の時期を考慮すると冬メック模試と第4回TECOM模試を受験する人が多いのかなと思います。

 

ここからは僕が受験してみた感想です。

 

TECOM模試は総じて難易度が高く、第4回TECOM模試はかなりアクロバティックな問題が多いという印象を受けました。あと、解説書が雑ですね。選択肢の解説に、「~は明らかである」とか書いてあるとさすがに「いやいやマテマテ」ってなります。

 

冬メック模試の難易度は本番に近く、解説書がかなりしっかりしています受験者数も一番多い模試なので受験することをオススメします。

 

MEDIC MEDIA模試は今年度から始まった模試です。初年度ということで受験料が3000円と安かったため受験しました。受験した印象としては、正直難しすぎました(最も難易度が高い模試でしょう)。解説書はしっかりしていますが、12月に模試を2つ受験するのは結構大変ですし、こちらを受験するくらいなら冬メック模試を受験したほうがいいと思います。

 

 

〇教科書類

『病気がみえる』シリーズや『year note』を使用しました。これに関しては今更語ることはありませんね。 

 

 

 

 

 ☆QBのオススメ勉強法

先ほどQBは1周目問題だけ解いてくださいと記載しましたが、それについて詳しく述べていきたいと思います。

 

QBの1周目問題は何かというと、"過去5年分+それ以前でも解いておきたい典型的な問題"です。QB全体の40%程が一周目問題に相当します。

 

QBは疾患の網羅性を重要視しているため、数十年前に一度しか出題されていない疾患に関する問題も載っています。そういった問題のRevival問題が本番で出題される可能性はもちろんありますが、そんな問題は出たところで合否に関係しません。断言しましょう、そんな問題捨てても合格できます

 

近年の問題は昔の問題とは出題傾向が大分変わり、臨床寄りの問題考えないと解けない問題が多い上、出題者の先生が毎年全員変わるわけではありません

それ故、実際に回数別で問題を解いてみるとわかると思いますが、一年前出題された問題と次の年に出題された問題は想像以上に出題傾向が似ています。他にも、一年前は不正解の選択肢になっていた疾患に関する問題が次の年に出題されたりすることもあります。

これが、医師国家試験は過去3年分が何よりも重要と言われ、3年分の問題を研究することが合格への近道となる所以です。

だからこそ、昔の問題をやる意味はあまりないわけです。

 

故に1周目問題のみやりましょう。最低でも国試本番までに2~3周は周回したいです。実際、僕は1周目問題のみ3周して本番に突入しました。

そのうえで、過去3年分の問題(できれば過去5年分)は完璧にマスターしてください。不正解の選択肢や解説で知らない知識があればもちろん調べてノートを作るなりしてください。

 

QBに限らず、模試などについても自分専用のノートを作っておくと直前期に効率よく見直すことができて便利です。

 

最後にオススメの問題の解き方を紹介しておきます。

 

 

112A-49の問題を例にあげます(問題番号をネットで検索すれば出てきます)。

答えはわかると思います。文章を全部読まず画像すら見なくてもMPO-ANCA(+)だけでcの正答に辿り着くことはできます。
当ってたわ~い、次の問題行くぞ~。

でも、これでは意味がないんですよね(もちろん本番はすぐにわかる問題はすぐに答えを選んでいいですが…)。

一問一問にじっくり取り組んでみてください(ダラダラやるのはもちろん駄目)。

 

(*)112A-49

・45歳男性の主訴歩行困難

→これだけじゃ何とも言えないな。


・2週間前に右足背に痛みを自覚して、5日前から左手の示指と中指に痛みを伴うびりびり感が出現した

→空間的かつ時間的に多発する左右非対称のしびれ。ニューロパチーの中でも多発性単神経炎。鑑別として血管炎症候群とアミロイドーシスとDM性が挙げられる。


・体温37.8℃

→BTが少し高い。血管炎で発熱はみられるけどもちろん他を否定することはできない。


・遠位筋で左右差のある筋力低下がみられ、四肢の腱反射は全般的に低下。左正中神経領域と右浅腓骨神経領域とに痛みを伴う感覚低下

→ニューロパチーなら説明がつく所見。


・尿所見で蛋白1+、尿沈渣で赤血球10〜20/1視野

→しびれの鑑別と言ったら尿所見が重要。タンパク尿がないからアミロイドーシスは否定的で、血尿があるから血管炎か。


・WBC12500、Cr1.7mg/dL、CRP 6.2mg/dL

WBCCRPも高いし、腎障害も出てるならやっぱ血管炎かな。


・血糖96mg/dL、HbA1c 5.2%

→DM性は否定してよさそう。


MPO-ANCA 62U/mL、PR3-ANCA 3.5U/mL未満

MPO-ANCA(+)でPR3-ANCA(-)だから顕微鏡的多発血管炎(MPA)。


・胸部エックス線写真で異常を認めない

MPAだけど、この患者さんでは肺胞出血は見られないんだ、ふーん。


・上行結腸に潰瘍を認める

→血管炎なら消化管出血は見られる。


・生検組織のH-E染色標本

→炎症細胞が血管付近に集まっている。フィブリノイド壊死も見られる。

 

じゃあ選択肢を見よう→正答はc

 

こんな感じでしょうか(間違っている箇所があったらごめんなさい)。

もちろんこの通りでなくてもいいです。

要は主訴や病歴からどんな疾患が候補にあがるか、それらの鑑別にはどの検査所見を見ればよいのか、検査所見で異常値があれば何が原因で起こっているのか説明できればいいわけです。

他にも、この問題を解いたら、MPAの症状として他にどういったものが起こるかや治療法などについてもついでに復習しておくといいと思います。このやり方だと様々な知識を一度に復習でき、考えるプロセスや応用力なども身に着くのではないかと思います。

前述したように、近年は考えないと解けない問題も多くなっています。普段から頭を使って考えていないのに本番だけ考えようなんて無理な話です。普段から練習しておくことが大切です。

 

こういう解き方をしてみるとわかると思いますが、一問を解くだけでも結構時間がかかります。おまけにQBの解説を読んだりすると臨床問題だと一問解くのに最低5分以上はかかると思います。不必要な問題に時間を割く余裕などありません。

 

あと、こういう解き方をするうえでは、必ず『臓器別講座』を観てある程度知識が定着していることが大前提になります。知識が定着していないうちにQBを解くことはオススメしません。

あくまでQBは疾患の網羅です。知識が定着していない状態でQBを解いた場合、疾患Aの治療法を聞かれていたら、解き終わった後に治療法しか記憶に残らないのではないかと思います。極論ですが、『臓器別講座』の内容が完璧に頭に入っていればQBの問題は普通に解けるはずなんですよね。

 

もちろん問題の解き方や暗記した知識の使い方、鑑別疾患の考え方などは練習しないと無理なので、それらをQBを解くことでマスターするべきだと思います。

 

 

 

 

☆必修対策

必修落ちって怖いですよね…僕もそうでした。

第113回医師国家試験は必修が難化したと思いました。僕は解いていて試験中頭がおかしくなるかと思いました。

必修対策は必ずしないといけません。

しかし、注意してほしいのは必修対策に時間をかけすぎてはいけないということです。

必修に関しては、問題を解いた量と点数が比例するかというとそんなことありません。ある程度勉強したらそれ以降はあまり点数は伸びませんし、伸ばす必要もないと思います(あくまで8割取れればそれでいいので)。

必修の問題ばかり解いていてそれに慣れすぎると、一般・臨床問題を解いた時にかえって難しく感じてしまい良くないと思います。

 

基本的にはQB7巻の1周目問題を中心に勉強すればいいと思います。

そのうえで必修特有の身体診察や検査、手技に関しては教科書で個別に確認することが大切だと思います。

僕は上記の分野のみQBの全問(1周目問題以外も)を解き、それ以外は1周目問題のみ解きました。

 

 

 

 

☆勉強スケジュール 

今から紹介するのは大体僕が実践した勉強スケジュールですが、これは最低ラインだと思ってください。

 

〇~6年の夏まで

メジャー科の『臓器別講座』を観て、書いて覚えて知識をある程度固めておきましょう。

メジャー科の1周目問題を1周しましょう。

産婦小児マイナー科と違いメジャー科は病態を理解しないと全くお話にならないので、一朝一夕で得点源にすることはまず不可能です。どれだけ早くメジャー科の知識を覚えられるかで勝負が決まると言っても過言ではありません。

 

〇夏~10月中旬

産婦小児マイナー科の『臓器別講座』を観て、それらのQB1周目問題を1周しましょう。

もちろんメジャー科の『臓器別講座』の復習は忘れずに。

 

〇10月中旬~12月

『臓器別講座』の復習はもちろん、『サマライズ』を観始めましょう。『サマライズ』も観た後で定期的に復習しないと意味がありません。

QB1周目問題の2~3周目をやりましょう。

模試を受験しましょう。

公衆衛生の勉強を始めましょう。

 

〇1月

回数別過去問を中心に勉強しましょう。

『臓器別講座』、『サマライズ』、公衆衛生の復習に加え、今まで間違えたQBの1周目問題や模試の復習をやりましょう。

必修対策も忘れずに。

 

〇2月

公衆衛生の復習を必ず一通り復習してください。

あとは総復習。とにかく体調を崩さないようにしましょう。

 

 

繰り返しますが、上記はあくまで最低ラインの話なので、『ここまでにこれらをやっておかないとヤバいよ』という指標として捉えてください。

勉強し始めるとわかると思いますが、本当に全然時間が足りません。実習や卒試が秋ぐらいまである大学なら尚更です。「もっと早くから勉強しておけばよかった…」と何度も思いました。なるべく早め早めに勉強を始めた方が後々心の余裕もできると思います。

皆さんはギリギリを責めずに是非早めに勉強を始めてくださいね。

 

 

 

 

☆最後に

ここまで読んでくださった方々ありがとうございます。

柄にもなく真面目な記事を書いてしまいました笑

 

国試の勉強は長丁場ですし相当な時間勉強をしなければいけませんが、勉強だけでは絶対に集中力が持ちません。大学受験の時の勉強と違い、数学の勉強に飽きたから英語の勉強をするといったことはできず、どの分野も医学で、どの分野の勉強をしても必ず暗記がつきまとうからです

だからこそ自分なりの息抜きの方法を見つけましょう。息抜きの時間も大切にしましょう。美味しいご飯を食べたり、趣味の時間を一日である程度は確保するなど…それをすればまた勉強を頑張ろうと思えることなら何でもいいです。

 

あと、誰にも会わず一人で勉強し続けるのはオススメしません。僕は大学の図書館で勉強をしていましたが、昼食は同じく図書館で勉強していた同級生と毎日食べていました。誰かと少し話すだけでも気分転換になると思いますし、同級生も頑張っているから自分も頑張ろうって思えるのではないでしょうか?僕はそうでした。

僕にそんな風にやる気を出させてくれた、毎日ご飯を一緒に食べてくれた友人たちにこの場を借りてお礼を言いたいと思います。本当にありがとう!

 

国試の勉強はつらいと思いますが、その先に明るい未来が待っていると信じて全力でひた走ってください。応援しています。